元 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス 代表取締役社長 和田 洋一 氏

登壇セミナー名 経営者・幹部の意思決定とリーダーシップセミナー
開催日程  2022年6月9日(木)~10日(金)
講演タイトル  変革の経営 生物のメタファー
「経営者・幹部の 意思決定とリーダーシップセミナー」では、「リアルケーススタディ」と題し、実際に企業のトップの方からトップマネジメントに求められる意思決定の要諦について講演があります。

2022年6月9日(木)~10日(金)に開催されたセミナーでは、元 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス 代表取締役社長 和田 洋一 氏にご登壇いただきました。

スクウェア・エニックスといえば、「ファイナルファンタジー」「ドラゴンクエスト」「キングダムハーツ」などのゲームで知られています。(筆者はゲームが好きなのでそのような意味でもこの講演を楽しみにしておりました…)

今回の講演は、「変革の経営 生物のメタファー」というタイトルで、スクウェア(当時)時代も含めた課題やそれに対する向き合い方、トップとしての在り方についてお話いただきました。講演タイトルにもあるように、本講義では企業を生物に見立てて解説がなされました。
講演を聞いたセミナー参加者からは、「何度も大きな決断をされたトップからの「トップの仕事」についての講話は重みがあった。」というお声がありました。

本ページでは、2022年6月9日(木)~10日(金)「経営者・幹部の 意思決定とリーダーシップセミナー」の和田 洋一 氏による講演の様子についてご紹介いたします!

担当講師

担当講師
和田 洋一
元 株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
代表取締役社長
1984年 野村證券(株)入社
・個人営業、法人営業(ファイナンス、M&A)、企画、証券アナリスト、最終は管理会計グローバル統括と、トレーディング以外は全分野経験
2000年(株)スクウェア入社(2001年より代表取締役社長)
2003年(株)スクウェア・エニックス
(現(株)スクウェア・エニックス・ホールディングス)
発足とともに代表取締役社長就任(2013年社長退任、2016年退職)
・企業再生、成長戦略、構造改革と3局面で実績
・同時期、業界活動にも従事
 コンピュータ・エンタテインメント協会長(2006年~2012年)
 経団連著作権部会長(2008年~2013年)
 その他各種委員会理事等歴任
2016年以降は、ベンチャー経営者、若手経営者をサポート
・(株)メタップス、ワンダープラネット(株)、(株)マイネット、
(株)夢真ビーネックスグループ、各社の社外取締役
・他に、内外の未公開ベンチャーの取締役、アドバイザー等に就任

プログラム

目次
プログラム概要

本題に入る前に、これまでのスクウェアの売上高・営業利益に加え、デジタルエンタテインメント業界の売上セグメントの変化について解説されました。
10年ほど前まではデジタルエンタテインメント業界の売上は家庭用ゲーム等の売上が半数以上を占めていましたが、その割合は徐々に減少し、現在ではスマートフォンゲーム等の売上(課金等)がおよそ半数を占めるようになりました。(日頃からスマートフォンゲームをする筆者にとっては興味深い解説でした。)

●ターンアラウンド
さて、本セッションでは主に90年代後半~2002年ごろまでのスクウェアの課題と対応についてお話がありました。
90年代後半はおおくの電機メーカーがゲーム業界に参入し始めた時期でもありました。そのような時代背景の中でスクウェアはフラットな組織づくりや選択と集中などの施策を行いました。しかし、フラットな組織にした結果意思決定者が不在になってしまうなどの問題が起こってしまいました。

このような状況に対処するべく、「ロジカルに」「断固として」「一気呵成に」を心得としてターンアラウンドを実施しました。ターンアラウンドは“外科手術”の要領で行われました。例えば患者の体力を考慮すること、必要とあれば“輸血”を行うこと、手術後は“リハビリ”を行う、などです。

●新会社骨格作り(実質的創業)
本セッションでは2002年時点でのスクウェアの課題と、「スクウェア・エニックス」
定着までのお話がありました。

当時のスクウェアは主に「ファイナルファンタジー」を中心としたJRPG(日本のRPG)に特化していました。そのため、「テクノロジー」「デザイン」「ビジネスモデル」の3つが相互に働きあって進化していくのが重要であると考え、エニックスとの“交配”へと至りました。
スクウェア・エニックス定着後は「派閥の芽を摘む」「ブランド意識徹底」など、1つの会社であるという意識を社内外を通して徹底的に浸透させていきました。

例えば、社内ではひとつの社長室(ガラス張り)に旧スクウェア社長と旧エニックス社長を同居させることで、正しい情報の伝達や派閥意識の解消に努めました。社外においてもブランドが定着するまでは「スクエニ」呼称は禁句とし、「スクウェア・エニックス」を浸透させていきました。
もちろん現在は「スクエニ」呼称の使用はOKです。

●拡張(M&A、子会社)=骨格作り第二局面
本セッションではM&Aや子会社設立、事業提携などの外部との取り組みの話や、戦術、また敗因についてもお話しいただきました。
2004年以降買収や子会社設立などで事業を拡張していきました。当時の戦術として「求心力の堅持」「多様性の維持(=画一化の回避)」などがありました。求心力の堅持の一環として企業理念を設定しました。
最高の「物語」を提供することで、世界中の人々の幸福に貢献する。-この企業理念のもとに企業活動を行っていきました。

しかし、他社比較ではパフォーマンスは悪くなかったものの、「次の柱」が育てられず、売り上げも低迷してしまいました。和田氏は敗因について、「中途半端な人材育成」や「組織力育成不足」を挙げました。
「構造と初速はトップの仕事」という言葉を仰っていました。

●構造改革(5年計画)
冒頭でも述べた通り、10年前と現在ではデジタルエンタテインメント業界の売上構成は変化しており、現在はスマートフォンゲーム等の売上(課金等)が半数を占めています。当然企業も構造改革を行う必要があり、そこで重要になってくるのが「テクノロジー」「デザイン」「ビジネスモデル」のバランスです。特にテクノロジーが与える影響は大きく、プレイヤーの課金(=企業の売上)につながります。
一方、ゲームプレイヤーと収益の関係性をみてみると、スマートフォンゲームのプレイヤーは9割が無課金となっており、これまでの据え置き型ゲーム(ゲームソフトを店舗で購入する等)とは収益をもたらす構造に違いがある事が明確です。

講演の最後では、社長退任時の振り返りについてもお話されました。トップとしての在り方、まさに「意思決定」と「リーダーシップ」についてリアルなお話を伺うことができた、濃密な90分間でした。

参加者の声

和田氏の講演を聞いた参加者の声の一部をご紹介します。

  • 何度も大きな決断をされたトップからの「トップの仕事」についての講話は重みがあった。
  • トップの役割として「要所のキーマンとして社長が動きすぎ」「構造と初速はトップの仕事」が強く印象に残り、自身も意識することを確信した。
  • 「暇は腐敗の最大の温床」。このお言葉、深く意味を考えてみたいと思いました。
  • 企業のターンアラウンド時の体力が落ちた時は“輸血”が必要、その後も“リハビリ”が必要、といったように組織を生物に見立てて説明されており、新鮮でありつつも納得する話だった。
まとめ
今回の講演で特徴的だったのは、やはり企業を生物に見立てて説明されていた点です。“手術”“輸血”“交配”など、通常企業の状態を表す時には使用しない単語ですが、和田氏の講演を聞いていると、確かに上述のような単語がしっくりときました。
普段何気なくプレイしているゲーム業界の構造が変化していること、そしてそれに対応するために企業・トップ層がさまざまな施策を打っていることなど、普段は聞くことのできない話を聴講でき、とても有意義な時間でした。

「意思決定とリーダーシップセミナー」では、毎回ゲスト講師をお呼びしてこのように講演をいただいております。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!!