日本貨物鉄道株式会社 執行役員 経営統括本部副本部長 経営企画部長 高橋秀仁 氏 インタビュー :第80回新任執行役員セミナー参加者

「外部の方と一緒に学ぶことで、変革への意識を高めることができました」

日本貨物鉄道株式会社
執行役員 経営統括本部副本部長 経営企画部長
高橋秀仁(たかはしひでひと) 氏

日本能率協会は1982年から、トップマネジメント層の経営力向上に貢献するべく、「トップマネジメント研修」を開催しています。
長年にわたり、経営者に必要な普遍的な経営知識、心構えや視座・思考のあり方、今の時代に求められる課題の対応などを、皆様に提供してきました。
中でも「新任執行役員セミナー」は、これまでの開催が80回を超える歴史あるセミナーです。
このセミナーには、様々な業界から「執行役員」が集まりますが、今回、昨年度にご参加いただいた日本貨物鉄道株式会社 執行役員 経営統括本部副本部長 経営企画部長 高橋秀仁 氏に 研修の感想を伺いました。インタビュアーは日本能率協会の小杉が務めました。(本文中敬称略)

「経営者の覚悟」を講演で感じる

<小杉>
高橋さんの現在のお立場とお仕事内容を教えていただけますか?

<高橋>
「経営統括本部」の副本部長を務めています。経営企画部門には、5年前に着任しました。経営企画部門は2度目ですが約20年振りに戻ったことになります。中期経営計画や長期ビジョンの策定などに関わり、中長期的な視野に立った計画策定、それに基づく全社的な事業運営を担っています。

<小杉>
「新任執行役員セミナー」にご参加いただき、ありがとうございました。研修を終え、印象に残っていることはありますか?

<高橋>
3日間の研修でしたが、印象に残っていることはたくさんあります。まず、講師の方々のお話です。それが強く印象に残っています。

ワコールで副社長だった山口雅史さんや、第一三共の中山讓治さん、本田技研工業の専務取締役をされた山根庸史さん、カルビーの社長伊藤秀二さん、日本交通で代表取締役社長を務められた知識賢治さん、特にこれらの方々から直接お話を伺えたことで、多くの学びを得ることができました。

みなさん、一流企業においてビジネスの最前線で経営に関わってきた方です。さまざまな修羅場をくぐり抜けられて、会社の発展のために尽くしてきたからだと思いますが、お話の端々に「迫力」がありました。強い覚悟を持って、経営に取り組んでこられたことを、直に感じることができました。会社を経営していくためには、自ら様々な情報を集め、判断し、決断をし、実行していかなければなりませんが、それに向かう精神力の強さを感じました。「自分はまだまだ胆力が備わっていない」と反省しました。

3日間で8人の方に講師としてお話ししていただきましたが、それぞれ違う切り口でお話をされていたので、興味深く拝聴することができました。

例えば、シグマクシスの代表取締役会長の倉重英樹さんからは、最先端の経営論についてお話をしていただきました。印象に残っているのは、「将来がどのようになるか、みなさん、知りたくないですか?」と問われたことです。「将来がどのようになるのかを予測するためには、将来を見通す様々なジャンルの本を読んだり、いろいろな業界の人と意見交換したりしないといけない」とご教示いただきました。

研修では、短期間でたくさんのことを学びましたので、その資料を読んで、もう一度振り返ってみようと思っています。

外部との議論を通じて「自社」を見つめ直す

<小杉>
この研修では、講演の他に、ご参加いただいている他社の方とのグループワークも行います。
他社の執行役員の方とお話ししてみて、いかがでしたか?

<高橋>
非常に刺激を受けました。特に感じたのは、「視点の違い」です。私たちの業界とは全く違う考え方があることがよくわかりました。それは、業界の違いなのか、企業風土の違いなのか、個人の資質なのか要素はいろいろあると思いますが、ビジネスに対する新たな考え方に触れることができました。研修でおこなった議論の中で、「このような考え方をするのか」「こういう捉え方をするのか」と気づきを得る瞬間がたくさんありました。

研修では、40人近い方が参加されていたと思いますが、グループワーク毎にメンバーのシャッフルがありましたので、たくさんの方とお話しすることができました。様々な業界の方が参加されているので、普段の業務では得ることができないことを学ぶこともできました。

また、グループワーク以外でも、フリータイムや食事の時間などがありましたので、その時にも活発にお話をさせていただきました。研修中とは違い、かなり、ざっくばらんにお話ができ、情報交換ができました。「他社の方、他業界の方と情報交換ができる」というのは、この研修のメリットの一つだと思います。日常の業務では異業種の方と時間をとって深い話をする機会を確保することは、皆さんお忙しいこともあり、なかなか難しいですからね。

異業種の方とお話ししてわかったのは、みなさん、「チャレンジ精神」が旺盛であるということです。弊社でも、ブランドメッセージとして「Challenge and Change 挑戦、そして変革」を掲げており、新しいことに日々挑戦していますが、貨物鉄道という事業は、何よりもまず「安全」を重視します。ルールを遵守することを常日頃考えておりますので、冒険したり、殻を破って行動するということはあまり得意ではありません。

しかし、他の業界の方と話してみると、みなさん、新規事業や新たな施策に果敢に挑戦しておられます。そういう点は大いに見習うべきだと思いました。弊社もさらにチャレンジングなことに取り組まなければいけないと強く感じました。

「What」の経営思考を学ぶ

<小杉>
この研修でどのようなことを得ることができましたか?

<高橋>
現在、中期経営計画の策定を進めているのですが、今回の研修で学んだことを活かすよう心掛けています。

研修中にも何度かお話がありましたが、経営の実務にあたっている方は、常に自社だけではなく、外部に目を向けられています。井の中の蛙にならないよう、課題解決にあたっているということだと思いますが、私もこれまで以上に外部に目を向けるよう意識するようになりました。「自分達の思考回路だけで考えていないか」を意識するようにしています。研修以降、そういう思いを持ちながら、業務にあたることができるようになったと思います。

加えて、研修で学んだ「Whatの思考方法」も心がけています。ワコールで副社長だった山口雅史さんがマネジメントのリーダーシップについてお話をされた時だと思いますが、「何を」を考えることが重要であると教えていただきました。

「何のために、それをやるのか」「何を提供しようとしているのか」、そういったことを外部の視点に立ち、検討する必要があります。具体的な施策に落とし込む際に、その視点を持つように注意していますが、これは、部内で議論するときに、部下にも促すようにしています。

「執行役員」としての自己を考える機会にしてほしい

<小杉>
今年も「新任執行役員セミナー」が開催されます。今年ご参加される執行役員の方に、先輩修了者としてアドバイスやメッセージをお願いします。

<高橋>
外部の講師の方の話を参考にして、自分を見つめ直す機会、これからどうしていくかを考える機会にしていただきたいですね。もちろん、各社の執行役員クラスの方が参加されているので、そのような意欲を持った方々が集まるとは思いますが、その点を意識されると良いかと思います。

執行役員になってすぐは、具体的に何をするべきなのかよくわからない方もいるかもしれません。執行役員になる前から実務に一生懸命取り組んできた方にとっては、これまでどおり業務を遂行することに追われて執行役員の役割や取り組み姿勢等について具体的にイメージしづらいかもしれないからです。

また、そういった方は、多忙な業務に励んでいられると思いますので、改めて、自己や自社のことを考える機会が、日頃の業務に忙殺されどうしても少ないと思います。そういう方々にもう一度「自分がどこを目指すべきなのか」「何をやらないといけないのか」ということを、この研修で、今一度、考えていただければと思います。

<小杉>
本日はありがとうございました。