DX推進に成功している企業の経営陣が実践している5つのポイント

今やあらゆる業種・業態の企業が必要としているDX(デジタルトランスフォーメーション)ですが、2022年11月に日本能率協会が発表した『日本企業の経営課題 2022』によると、「おおいに成果が出ている」「成果が出ている」と胸を張って答えられる企業は、18.3%です。DX推進がうまく進まない企業は、どんな課題を抱えているのでしょうか。

この記事では、DXを的確に進めている企業が実践していることを整理してお伝えします。

「日本企業でDXが進まない理由」のトップは?

前述の調査によると、企業が抱えているDX推進の課題は、「DX推進に関わる人材不足(育成85.9%、採用83.1%)」「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない(67.8%)」「具体的な事業への展開が進まない(65.5%)」です。

2021年の調査結果と比べると、人材不足や事業への展開といった課題を挙げる企業は減っているのですが、「ビジョン、経営戦略、ロードマップが不明確」はむしろ増えています。「DXの必要性は感じているが、中長期的な方向性や具体的な戦略を打ち出せず、二の足を踏んでいる」という経営者、取締役も少なくないようです。

「なぜDXが必要なのか?」という本質的な問いに答えられない経営者は、DXを遂行する意義を本音の部分で感じることができません。それでは、思いきった投資や舵取りに躊躇してしまうでしょう。「まずは、デジタルで何かやってみよう」という経営層からの曖昧な指示のもと、小さなプロジェクトが立ち上がっては消え、変革を実現できないまま従業員が疲弊していく…といったケースも散見されます。

「デジタルによるトランスフォーメーション(変革・改革)」は、一朝一夕に成果を挙げられるものではありません。既存業務をデジタル化することに重きをおきがちですが、大抵の場合、それはスタート地点にすぎません。

DXの本質は、デジタル技術の活用によって自社のビジネスモデルや働き方そのものを大きく転換することです。社長以下、経営陣の一人ひとりがしっかりコミットメントし、全社を挙げた取り組みとなるような旗振りを行う必要があります。

DX成功企業に共通する経営者のコミットメント

経営者と取締役会が高い目的意識を持つことを前提としたうえで、その取り組みが実際に成功している企業に共通しているのは、次の5つのポイントです。(参考:独立行政法人情報処理推進機構「DX白書2021」)

1)ビジョンを明確にする
まず行うべきは「これからDXを推進する」とトップダウンで宣言すること。経営者からの明快な意思表示のもと、推進する目的とゴールイメージを従業員全員に伝えることが大切です。「改革」である以上、これまでの成功や常識にとらわれない新しいマインドセットも必要となります。短期的な成果だけで評価しない新たな人事システムの構築を視野に入れるのもいいでしょう。

2)長期的な計画と判断
DXを成功させるためには、長期的な時間軸で物事を見ていく必要があります。単に業務をデジタル化するのではなく、その先の会社の姿、ビジネスモデル、顧客がどうなっていればいいのかをしっかり描く力が求められます。役員一人ひとりが担当領域におけるロードマップを組み立て、取締役会全体で共有しながら、連携を取って推進できる体制を構築する必要があります。

3)専任組織・プロジェクトの共有
既存のシステム関連部門や企画部門に兼任してもらうのではなく、DXのための専門組織やプロジェクトを組成することで、参加者のコミットメントを促します。全社を挙げての改革であるため、各部門から組織横断的にメンバーを選抜できるのが理想的です。必要とあれば外部の専門家の力を借りるのもいいでしょう。

新組織のメンバーには、経営トップがDXにかける思いを直々に伝えることが肝要です。新組織と既存組織との関係性に目を配り、ときに橋渡し役を買って出るのは、関連部門を管掌する取締役の仕事です。

4)権限委譲で組織の自律性を高める
プロジェクトの組成とともに大事になってくるのは、組織の自律性を高めることです。DX推進の旗印として、社長や取締役の志は重要ですが、実際に現場で手を動かすのは選抜されたメンバーです。進捗のすべてに役員が関わるのではなく、一定の権限をメンバーに移譲すれば、プロジェクトはよりスムーズに前進するでしょう。メンバーは、「経営陣に任せられた」というモチベーションから、変革を主導していく姿勢に変わっていくはずです。

5)慎重かつ大胆なデジタル投資
全社を挙げたデジタル化にかかるコストは高額になりますが、費用の抑制を優先するとDXは進みません。採用が難しくなっているデジタル人材が不足している場合は、社内で育成する必要もあるでしょう。変革を求めるDXへの投資こそ、大きな権限を持つ経営陣の判断が重要になります。テーマによっては専門家の意見も取り入れながら、慎重かつ大胆に投資計画を進めていかなければなりません。

経営陣がイニシアチブを発揮するDX推進を始める前に

先行きが見えない時代だからこそ、DXを避けて通ることがはできません。長期スパンで事業を見渡せる力とともに、日々の的確な判断が求められるDXは、経営者や役員の戦略観、決断力が試されるプロジェクトといっても過言ではないでしょう。

不確実性のなかでリスクを考慮しながらも、経営層として明快に意思決定する力を磨くためには、トップマネジメントならではのトレーニングを受けるのも効果的です。

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