変化の時代に求められる「リーダーシップ理論」

リーダーといえば、これまでは統率力のあるパワフルなイメージが一般的でした。しかし、変化が激しい時代で事業の成長を続けるために、新たなリーダーシップのあり方が問われています。たとえば、「部下との信頼関係重視」「状況対応型」「自らの目的・価値観重視」など、さまざまなリーダーシップ理論が注目されています。

今回は、次世代のリーダーに求められる考え方として、「サーバントリーダーシップ」「シチュエーショナルリーダーシップ」「オーセンティックリーダーシップ」の3つの理論について解説します。

次世代に新たなリーダーシップが必要な理由

従来の日本では、「支配型リーダーシップ」が主流でした。支配型リーダーシップとは、すべての権限を持つリーダーが部下に指示を出すトップダウンのマネジメント手法です。

しかし、現代では、デジタル技術の急速な進化やSNSを中心とした多面的な情報流通などにより、ビジネス環境が大きく変化しており、リーダーがすべての情報を把握して決断を行うことが難しくなっています。加えて、従業員の価値観や働き方も多様化しており、トップダウン型のリーダーシップだけでは人が動かなくなっているという状況もあります。

このような背景を踏まえて、変化する時代への適応及び組織力の向上をめざし、新しい考え方に基づくリーダーシップを採用する企業が世界的にも増えてきました。
ここからは、代表的な3つのリーダーシップ理論を紹介します

サーバントリーダーシップ

サーバントリーダーシップとは、リーダーが部下やチームメンバーに奉仕し、周囲から信頼を集めた上で、主体性のある組織を作り出していく支援型リーダーシップです。

リーダーは一方的に指示を出すのではなく、相手の状況や思考に共感しながら導き、メンバーとともに活動します。サーバントリーダーシップが発揮できれば、部下はリーダーの指示のベースにあるビジョンを理解できるため、目標達成に向けた自発的な取り組みが進むようになります。

新たなプロジェクトチームや発展途上の部署、スタートアップの企業などで効果を発揮するリーダーシップともいわれています。

シチュエーショナルリーダーシップ

シチュエーショナルリーダーシップは、部下のパフォーマンスやモチベーションに合わせて、リーダーの対応を柔軟に変えていく状況対応型リーダーシップ(SL理論)です。指示と支援を組み合わせて、部下の意見を傾聴しつつ、具体的なプロセスを指導します。

シチュエーショナルリーダーシップでは、部下を4段階に振り分け、それぞれに合わせたマネジメントモデルを活用します。

部下のタイプ マネジメント方法
モチベーションもスキルも高い 委任型:意思決定を部下に任せ、必要に応じてリーダーがサポートする
モチベーションが高くスキルは低い コーチ型:本人の意欲やアイデアを引き出しつつ、リーダーが意思決定を行う
モチベーションは中程度でスキルは高い 援助型:部下に意思決定権を与え、リーダーがプロセスを支援する
モチベーションもスキルも低い 指示型・教示型:リーダーが進捗管理・指示を細かく行う

シチュエーショナルなリーダーには、部下のスキルと状況を見極める高い洞察力と、一人ひとりに合わせた指導をきめ細かく行うコミュニケーション能力が必要です。

さまざまな分野の専門職で構成されたチームや、リーダーと部下との関係に課題があってモチベーションが弱い組織、人材育成が進んでいない組織においては、シチュエーショナルリーダーシップは有効な解決策のひとつです。

オーセンティックリーダーシップ

オーセンティックリーダーシップとは、リーダーが自分の価値観や信条に基づき、倫理的な判断によって組織を導くマネジメント手法です。「リーダーはこうあるべき」という概念にとらわれず、自分らしさを発揮しながら、唯一無二のリーダーとして活躍します。

オーセンティックリーダーシップには、「目的観」「価値観」「真心」「人間関係」「自己統制」という5つの特性が必要です。リーダーには、心を込めて周囲をリードしつつ、自己成長に対するたゆまぬ努力が求められます。一貫性のある指導と人間力によって、部下がリーダーに対して魅力を感じ、信頼関係を築きやすくなります。

経営者・役員層がオーセンティックリーダーシップを発揮できれば、組織に一体感が生まれ、従業員のエンゲージメントの向上も期待できます。企業の独自性の追求や、価値観の確立においても寄与するでしょう。

リーダーシップやマネジメントの「手法」の前に磨いておくべき力

今回紹介した3つのリーダーシップ理論は、よしあしを論ずるものではありません。   企業として、活用できそうな理論を経営陣やリーダー層に浸透させるのもいいでしょう。 こういう理論があるということを押さえたうえで、経営者・役員層が個々のマネジメント手法の振り返りを行うということも大切です。

しかし、これらの理論の手前で、経営者・役員層として必ず持っていなければならない重要な力があります。ひとつは、「戦略を構築し、浸透させ、関係者のコミットメントを促す力」。そしてもうひとつは、「トップマネジメントとして質の高い意思決定力」です。

困難な状況に置かれた時、あるいは不確実性の高い要素をもとに戦略設計と意思決定を求められる時は、考え方の枠組み、論理的思考、明確な判断基準が必要とされます。現場との コミュニケーションが良好だったとしても、リーダーの判断や指し示す方向が誤っていれば、事業をミスリードしてしまいます。

さまざまなリーダーシップ理論を活用するとしても、その根底には戦略構築や意思決定における適切なプロセスと考え方があることを忘れてはなりません。

次期経営者層、部門リーダーへの展開が重要

併せて、次期経営者候補はじめ、第一線で活躍するチームリーダーなど管理者に、早いうちから、リーダーシップについての学びを推進することが、自社の競争力を高めること にも繋がりますので、計画的な育成が大切です。
加えて、リーダーシップが発揮できる環境・雰囲気の醸成、組織風土づくりも経営者・役員層の大切な役目です。

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