TOTO株式会社 人財本部 経営塾 塾長 石井美和氏2/3【派遣責任者様の声】

TOTO株式会社 経営塾塾長の石井美和様に、役員研修の選抜基準や国外における経営者育成の違いなどお話を伺いました。
また、偶然の創発のなかでイノベーション的に人を育てるという独自の風土についてもお話いただきました。
インタビュアー:一般社団法人日本能率協会・丸尾(JMA)

経営塾生・選抜の3つ要素とは?

<JMA>
経営塾の塾生の方たちの選抜基準は、明確に何かあるのでしょうか?

<石井>
選抜後に以下の3つの要件クリアを目指しています。
1つ目は、経営塾の階層別に受講しているかどうか。
2つ目は、個人の能力評価。
3つ目は、多様な経験をしているかという意味で、部門をまたぐローテーションをしているかどうかです。
この3つを見ながら育成をおこなっています。

選抜人数については、具体的には階層別に次期役員候補層の最上層をNEXTⅠとし、順にNEXTⅠ’、NEXTⅡ、NEXTⅢと4階層に分けて管理しています。NEXTⅠは、約50歳前後で25名。NEXTⅠ’が50名程度です。経営会議で毎年見直しを行い、併せてローテーションの促進も議論します。更にNEXTⅡ200名、NEXTⅢが各200名程度とし、各部門で育成管理をしています。

<JMA>
個人評価など、結果をどれだけ出しているか、部門にどう評価されているのかという過去の履歴のほかに、ポテンシャルやこの先への期待感も含めて決めているイメージを受けたのですがいかがでしょうか?

<石井>
NEXT Ⅱ、Ⅲは全社横断で客観的に判断はできないので、具体的には現場の判断となります。

<JMA>
では、現場の方で期待を含んで選抜しているかは、それぞれ異なるのでしょうか?

<石井>
それは明確にはわかりません。
ただ、アセスメントで決め打ちしてしまうことで、多様性を損なってしまうリスクもあります。それは我々育成部門がイノベーションが必要な時に、偶然の創発と言う言い方が正しいかわかりませんが、決め打ちをしないそこに組織のエネルギーがあるのではないかと思っています。
ですから、アセスメントをして、人をマトリクスで管理するのではなく、偶然の創発の中で、イノベーション的に人を育てるということを考えるべきではないでしょうか。

国内と国外で育成方針が異なる?

<JMA>
大変興味深いですね。そのような考え方は経営のトップのお考えですか?
それとも風土的にそういったところがあるのでしょうか?

<石井>
両方だと思います。代々経営トップに引き継がれてきた理念、そこから培われた風土的なものがあると思います。
経営者を育成するというだけではなく、恐らく、会社全体の母集団、経営者候補というだけではなく、全ての人材に根付いている風土だと思います。
何というのでしょうか、みんなで協力してより組織を高めていこうというときに、アセスメントして優劣をつけることが仕組化されてしまうと、殺伐としてしまうのではないでしょうか。それよりも、みんなで頑張りましょうというモチベーションで組織を作るほうが、組織としては強い組織になるのではないかという考えが、弊社の風土だと思います。

<JMA>
アセスメントで見える化しよう、という風潮がある中で、面白い考え方ですね。

<石井>
ただそれはある程度人材が見渡せる会社規模でもあるからであるとも思います。

<JMA>
大規模企業では目が届かない分、数値で表しておかないと判断できないからでしょうか。

<石井>
そうではないでしょうか。
弊社の場合は、現状の人数であれば、現在の育成の仕組みで十分回せると考えています。

<JMA>
海外の人材も同じような考え方ですか?

<石井>
海外については、現在整備中です。
これから、グローバル人材の育成と、グローバルリーダー人材の育成を見ていくところです。
そこに着目していてわかったのは、日本と海外では雇用慣行の違いから育成の考え方が違うと言うことです。日本は終身雇用が中心であり、所謂、生え抜きと言う形があります。ですから、会社の中で能力開発をしていき、OFF-JTやOJTをしっかりやる必要があるのですが、海外というのは流動性が高く、中途採用が多いです。そのため社員がリクルート活動に合わせて、自ら能力を高めていく必要があります。その意味ではあまりこちら側がベーシックな教育をするのは、なじまないのではないかと思っています。

ただし、会社とグループ一体としての、実学ではなく経営哲学的な理念教育と言ったところは一緒にやらなければいけないと思っています。まずは現状把握しながら、今後を進めていきます。

<JMA>
JMAでも、そのあたりのことで、悩んでいるという声を聞くようになっています。

<石井>
そうですね、多分、実学の実施有無は各国で判断してもらうことになるのではないでしょうか。そして、グループ全体では理念教育的なところではないかと考えています。

<JMA>
そうですね、そういうかたちが現実的かもしれませんね。

次へ続く

サブコンテンツ

このページの先頭へ