《第5回》ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役会長 木川 眞 氏

ヤマトホールディングス株式会社 代表取締役会長 木川 眞氏に、ご自身が役員になられた当時の思いや経営者として大切にしている力などについて、お話をお伺いいたしました。新任取締役・執行役員の方に向けての力強い動画メッセージもいただいておりますので、ぜひご覧ください。

インタビュアー:一般社団法人日本能率協会 井上

特別メッセージ動画 ~新任取締役・執行役員の方々へ

失敗から生みだされることの大事さとは?

<井上>
木川様が初めて取締役の立場になられた時のことをお聞かせください。

<木川会長>
まずは、自分よりも組織を中心に考える気持ちになりました。
たまたまその時は銀行が危機に陥っているときでしたから、その時に自分をだすわけにはいきません。
社員のために私は何をするか、それは役員の私の責任だと、こういう感じが非常に強くありました。そういう気持ちだったと思います。

<井上>
当時の状況を踏まえて、無私にする、搾取をなくすということをされたわけですね。その時のお気持ちは今も続いてますでしょうか?

<木川会長>
続いています。ただ、それ以前にも失敗は多く経験してきました。
失敗から活かしたこともいっぱいあります。
だからそういうことを、私は大事にしようと思っています。

無にするというのは、ある意味では追い込まれた時の状況であって、やはりその中でも会社を良くしたいと思っています。
自分は、会社を良くするために何ができるかという思いで、自分が得するか損するかというのは、まったく考えないですね。
それはお陰様で続いています。

<井上>
それは20万人を超える会社を、抱えているということなのですね。

<木川会長>
ただ銀行とヤマトグループは違います。人の数も違いますし、風土も違います。
労働集約的な産業ですから先ほど申し上げたように、私の気持ちを、そして戦略をいかに伝えるか、正直これに注力していますね。

発信力が1番重要な理由とは?

<井上>
今日の4つの力の中で木川様は、発信力が一番重要だとおっしゃったのが、実は少し意外に感じました。でも今のお話に繋がるわけですね。

<木川会長>
どんなに良い戦略を書いても、実行に移せなければダメです。
そういう意味ではどう伝えるか。自分自身でいくら旗を振ってもしっかりと伝わっていないと動いてくれないです。
そのため、発信力が一番経営にとって大事なポイントだと思っています。

<井上>
今日のお話の中でも『しっかり』『イキイキ』『ワクワク』私でもわかるぐらいシンプルなお話をされることに対して工夫されていますね。

<木川会長>
あれを細かく解説しないほうが良いです。

失敗から学ぶ4つのヒントとは?

<井上>
さて、今日ご受講の役員の方々も各会社でこれから大きな役割を担い、おそらくいろいろな場面に出くわすと思います。
今日のお話の中で何が起こるか予測できない、システム障害のことも、9.11のお話もありましたけれど、その時に何が起こるかわからないけれども、腹を据えて決めることが大事だとおっしゃっていました。

ご受講者の皆様に対して有事の時、こうしたら腹を据えて決断できるというアドバイスなどあるでしょうか?

<木川会長>
これは普遍的な答えは多分無いと思います。だから臨機応変に何が良いかを考えて、考え抜くということだと思います。
そういうつもりで私はやってきて、その結果何回も失敗しています。
ただ、失敗するかもしれないと思ってアクションとらないことが、一番ダメなことなのです。
そこで「腹をくくる」というのは、リスクをとることだと思います。

ただ、その時にリスクを冷静に考えて、とってはいけないリスクは取らない、
そのことは守らないといけないですけどね。

僕は愛読書というのは、野中郁次郎先生が編集されている『失敗の本質』ですね、あそこから学んだことが多いです。
私の経営のバイブルです。
グランドデザインを書かない、明確にしていないと戦争に負ける。戦力の都度投入はダメだと書いてあります。これは典型的だと思います。
それから指揮命令系統は一本化しないといけない。
この辺は、『失敗の本質』に書いてあることを僕なりに、こなしているのです。

いかにも格好良すぎるのだけど、失敗から学ぶというのは、絶対に大事にしてほしいと思います。
失敗したことを封印するのではなくて、失敗のほうが成功のためのヒントがいっぱいあると考えると多分リスクがとれるようになるのだと思いますね。
そういう風に、ぜひ考えていただければ、有り難いですね。

成さざる罪から学ぶ2つの行動指針とは?

<井上>
最後にあらためてこれから役員になられた方に対して応援のメッセージをぜひお願いします。

<木川会長>
これから大変な重責を担われて経営をやっていかれる皆さまに、私なりの応援のメッセージは、やはり今これからの時代、正直に言うと大変な時代だと思います。
けれども日本は今良い方向に動いている、皆さんこの自信を持って常に前を向こうという姿勢でやっていただきたいと思います。

僕の座右の銘は、『成さざるの罪』です。やらないで無難で過ごすと言うことが、良いことでは決してないと、むしろそれは罪だという風に私は思っています。
これは主に若い人に対するメッセージなのですが、経営者の皆さまにも『成さざるの罪』と言われないような経営者に是非なって頂きたいと思います。
頑張って下さい。

<井上>
ありがとうございました。