《第19回》株式会社IHI 代表取締役会長(兼)最高経営責任者 斎藤 保 氏

株式会社IHI 代表取締役社長(兼)最高経営責任者 斎藤 保 氏※に、これから会社を担う役員の方々に対する動画メッセージや、経営者として心がけること、学ぶ姿勢についてなどお伺いいたしました。

※敬称略/お役職はインタビュー当時
(2016年10月現在 代表取締役会長(兼)最高経営責任者)

インタビュアー:一般社団法人日本能率協会 井上

特別メッセージ動画 ~新任取締役・執行役員の方々へ

気づきを与えるために必要なこととは?

<JMA>
ご講義を聞いて印象に残ったことの1つが、“どう考えさせるか”ということです。

部下に考えてもらい、動いてもらう為にはどうすればいいのかということは、自分でやったほうが早いということも含めて、おそらく皆さん悩んでいらっしゃると思います。

このような視点から、例えば課長の一歩手前の方に話をされる時に、どのようなことを話されていますか。

<斎藤>
その時のテーマによっていろいろ違いますけれども、これまでに経験したことや講義でお話したような内容でしょうね。

結局は“気づき”ですよね。

“気づき”をどう与えてあげられるのか。“刺激”だと思いますよね。

<JMA>
なるほど“刺激”ですね。

<斎藤>
頭のいい人は結構いますので、そこをどう突いてあげるかですね。
「こういう見方もあるよ」という”気づき”と“驚き”を、少し刺激してあげると活性化するのではないかと思います。

社内でも、そういうヒントを一応言ってはいるつもりです。

<JMA>
そういった前提があってのご講義でしたので、本日はそういった“気づき”を与えられたような感じを受けました。

あれほど質問が出ることは、なかなかないものですから。

<斎藤>
ありがとうございます。

部下のモチベーションを上げる為には?

<JMA>
モチベーションをアップする為にという視点で、社長として、部下が執行役員になった時に、どうやってモチベーションを上げるかというお話をされていましたけれども、改めて、部下のモチベーションを上げるために大事な点としては、どのようなことがありますか。

<斎藤>
モチベーション上げる為にはですね、やはり考えてもらうことが一番だと思いますね。
分かりやすく言うと、人から言われたことはやりたくないもので、皆、自分で考えたことをやりたがります。

<JMA>
確かにそうですね。

<斎藤>
つまり、本人が考えたように指導するということですよね。
こちらがそう思って指導するのではなくて、これは君のアイデアだよねって言ってあげるのが一番いいと思いますね、モチベーションを上げるには。

<JMA>
コーチングでもそういったことがありますけれども、社長が決定したから、決められたことをやりなさいと言われたのではなくて、うまく乗せられて。

<斎藤>
そうだと思いますね。

<JMA>
自分事とするような、そうした持って行き方をするということでしょうか。

<斎藤>
それが一番じゃないかなと思いますね。

上の立場の人に必要なこととは?

<JMA>
リーダーシップの強い社長の場合には、「いいからこれをしなさい」というようなケースもありますけれども。

<斎藤>
そうそう。だんだん面倒くさくなってね、そう言いたくなるわけですよ。

でもそこを我慢する必要がありますよね。

人には個人差があって、気づくまで時間がかかる人と、そうでない人がいますので、そこは忍耐が必要ですね。

<JMA>
胆力に近いかもしれませんね。

社長や上司からすると、すでにもう答えは見えているのだけれども、あえてそれを示さずに、部下自身に気づいてもらうように持って行くということですね。

<斎藤>
その通りです。

<JMA>
その時の我慢強さというものが、上の立場の人には必要なわけですね。

<斎藤>
必要だと思いますね、我慢強さが。

それは大事なことだと思いますね。

<JMA>
斎藤社長は昔から我慢強いほうでしたか?

<斎藤>
いやいや。

昔はね、短気でしたよね。

<JMA>
ちょっと想像がつきませんけれども。

<斎藤>
やはりある時から変わったと思いますね。

これまでの経験の中から学んだこととは?

<JMA>
自分が相手にこうした方がいいと言うよりも、回り道をしてでも部下に気づいてもらうようにするべきだということを、ある時点でお気づきになったということですか。

<斎藤>
そういうことだと思いますね。これは営業なんかにも共通する話でね。
営業ですと、お客さんに怒られるとか、いろいろなことを言われるケースがあると思うんですね。

私も技術営業みたいなことをやっていましたから、結構言われたことがあるのですけれども、その時に「この人はなんで怒っているのだろう」と考えたわけです。

これは部下の育成の時のモチベーションアップにもつながるのですが、どうして相手が怒っているのかなと考えることで、何か発言をした時に、なぜこの人はこういうことを言っているのかなと思うようになる。

そうすると、ここに気づきが足りないのかもしれないなということを考えるようになると。
そうすると部下の指導がうまくいくようになるかもしれませんよね。

だからお客さんに教えられたという感じだったのかもしれません。

<JMA>
経験を積んでいく中で、そういった道筋が見えてきたということですね。

斎藤社長はこれまでにも何度か、社内での選抜層に対する研修に、自ら出られたことがあるとお聞きしているのですが、部長に対して話されることと、執行役員に対して話されることで何か違いがあるとすれば、どのようなことでしょうか。

部長に要求することと、執行役員に欲求することの違いという点では、どういったものがありますか。

<斎藤>
話すことはほとんど同じだと思いますね。

ただ今日も少し話をしたように、執行役員や取締役になると、いわゆる法律の縛りが出てきますので、そこはちゃんと理解したうえでやらないと、暴走する可能性もあるわけですよね。

<JMA>
善管注意義務と忠実義務のお話のところですね。

<斎藤>
そこはしっかりと教え込んでいかなければという気がしますね。

あと、執行役員については、後継者を誰にするのかという視点から、部下の育成ですよね。

それは部長も課長も一緒だけれども、育成をどうしていくのかということを一番意識しなければいけないのは執行役員たちですよね。

役員として成長する為に必要なこととは?

<JMA>
最後に、新任の執行役員の皆さんに向けて、メッセージをいただきたいと思います。

実はすでに先程、最後に力強いお言葉いただいているのですが、改めてということで、大変厚かましいお願いではあるのですが。

今日参加した方々も、質問にあったことが背景にある中で、これから業績も含めて必ずしもいいことばかりではありませんし、見えない不安というのもあると思いますので、今後彼らが困難に直面した時に、社長のメッセージから、力づけられるようなお言葉をと思いますので、是非お願いいたします。

<斎藤>
今日は、歴史に学ぶという形で話をさせていただきましたが、やはり学ぶということは、執行役員になっても、社長になっても、必要なことだと思いますね。

そういう意味では、今回の研修会もそうですし、いろいろな場面で学ぶということを実践していただければ、より良い執行役員になれるのではないかと期待しています。

「学ぶ」というメッセージを贈りたいと思います。本日はありがとうございました。

<JMA>
Q&Aの中でも、社長からは、やはり広く学んで、不透明な時代でも立ち向かえるようにというお言葉を頂戴しましたので、それにつながるような最後のメッセージだったと思います。
学んだことがはっきりとわかりました。本当にありがとうございました。

※斉藤氏には「新任執行役員セミナー」にご登壇いただきました。
http://jma-top.com/jts01/jts_b/